POETIC SCAPEでは2024年5月18日より6月30日まで山上新平の個展「KANON」を開催いたします。
本作は同じくPOETIC SCAPEで開催した「The Disintegration Loops」(2019)と「liminal (eyes)」(2023)の二つのシリーズの間に撮影されたものです。初期のモノクロ作品三部作(「EQUAL」「SOW」「SPECTRUM」)とカラー作品「The Disintegration Loops」の制作において、足元にある山の木々など「命ある静物」と向き合い、少しずつ眼差しを変えながら写真を撮り続けてきた山上は、ある時その眼差しが臨界点を迎えたような感覚になったといいます。そこで、眼差しを新しいフェーズに持ち込むために「動的を見つめる」ことを次なる主題に掲げます。そうして選んだ被写体が蝶でした。
しかし、不規則な動きをする蝶を追いかける撮影は困難を極めました。精神的、肉体的に消耗する中で山上は、これまでの自身の写真を分析し、これまでの静的な被写体をじっと凝視する眼差しを壊しつつ、試行錯誤を繰り返します。その苦闘の末に「見る質として、捕まえようと凝視する眼差しから捕まえない触れるだけの眼差し」というフェーズが生まれたといいます。こうして獲得した眼差しが、次作「liminal (eyes)」へとつながってゆきます。
山上は「触れるだけ」の眼差しを獲得する過程で、写真家が被写体を主体的に見ようとすることを放棄し、いかに見るかはいかに見ないかという客体に徹することを選択しました。そして相手をあるがままを受け入れていくことで見えてくる世界もあると考えるようになります。
「触れるだけ」の眼差しと、あるがままを受け入れる姿勢によって生まれた「KANON」は、ステレオタイプな像から解放された蝶の「動的な命」の美しさに満ちています。
2024年6月8日 17:00-18:30
POETIC SCAPE
1000円(トーク終了後ミニパーティあり)要予約、定員20名
山上 新平
1984年神奈川県生まれ。イイノ・メディアプロ退社後、写真家として活動。主なグループ展に、『LUMIX MEETS BEYOND 2020 BY JAPANESE PHOTOGRAPHERS #3』(YellowKorner Paris Pompidou/パリ/ 2015、IMA gallery/東京/ 2016)、『Daikanyama photo fair 2017』 (代官山ヒルサイドフォーラム/東京/ 2017)、『3daysEXHIBITION』(セゾンアートギャラリー/東京/2017)。主な個展は、『0189』(社食堂 |SUPPOSE DESIGN OFFICE/Youngtree Press/東京/ 2017)、『山上新平展』(思文閣/東京・京都/ 2019)、『The Disintegration Loops』 (POETIC SCAPE /東京/ 2019)、『Refined black』(Laboratory △II/東京/ 2019)。2017年に『Daikanyama photo fair competition』にて奈良美智賞を受賞。
2022 年には、デザイナーの皆川明(ミナペルホネン)発行による写真集『Helix』を出版。2022年11月、bookshop Mから刊行された写真集『liminal (eyes)YAMAGAMI』をPARIS PHOTOで発表。









